レーダーグループ
Radar GroupUWBパルスレーダによる超高速立体形状推定アルゴリズム
災害現場等での救助ロボットや車載障害物検出システムの実現のために、UWBパルスレーダが期待されています。 UWBパルスレーダは光学カメラ等の他のセンサと比較して距離分解能が高く、 目標の位置だけでなく形状をも推定することが可能です。 しかし、これまでのレーダによる形状推定には膨大な計算が必要であり、リアルタイム用途での使用は困難でした。 当研究室では従来法では達成不可能であった高速高精度立体形状推定を目的とし、 目標の性質に応じて様々なイメージングアルゴリズムの開発を進めています。 特に比較的単純な形状の目標に対しては、計算時間わずか0.1秒の超高速処理で、 送信波長の1/100という超高分解能を達成しています。
関連論文
- T. Sakamoto, A fast algorithm for 3-dimensional imaging with UWB pulse radar systems, IEICE Trans. on Commun., vol.E90-B, No.3, pp.636-644, 2007.
UWBドップラーレーダによる人体イメージング
セキュリティシステムにおいて、 防犯カメラでは夜間等照明条件の劣悪な場合の監視が困難であり、 またトイレや浴室などのプライバシーの問題がある場所の監視ができません。 そこで、これらの影響を受けないレーダを用いた人体検知の要望が高まっております。 当研究室では超広帯域(UWB)ドップラーレーダを用いた人体イメージング手法の開発を進めています。 ドップラー効果の利用により人体の各部位を運動の違いに基づき識別することで、 3素子の固定アンテナによる歩行人体全身の高分解能イメージングを実現しました。
関連論文
- K. Saho, T. Sakamoto, T. Sato, K. Inoue, T. Fukuda, Experimental Study of Real-Time Human Imaging Using UWB Doppler Radar Interferometry, Proc. The 6th European Conference on Antennas and Propagation (EuCAP 2012) Congress Centre, Prague, Czech Republic, pp.26-30, 2012.
製品検査への応用を想定した超高精度超音波イメージング
鏡面構造製品の非破壊検査では、目標の鏡面反射により推定困難となる光学手法や、 十分な精度を得るために大型かつ高価な装置が必要となるレーダを用いることは困難です。 そこで当研究室では短波長の超音波を用い、 UWBパルスレーダのために開発された高分解能手法を、製品検査のための形状推定へ適用することを試みました。 実験検討の結果、世界初の超音波を用いたμmオーダでの3次元形状推定に成功しました。
関連論文
- K. Saho, T. Kimura, S. Kidera, H. Taki, T. Sakamoto, T. Sato, Robust and Accurate Ultrasound 3-D Imaging Algorithm Incorporating Adaptive Smoothing Techniques, IEICE Trans. Communications, Vol. E95-B, No.2, pp.572-580, 2012.
周波数領域干渉計法を用いた高分解能医用超音波イメージング
動脈の狭窄は生活習慣病の症状の1つです。 そのため、頚動脈の血管壁を高い空間分解能で計測することにより動脈の狭窄を早期に発見することができ、生活習慣病の早期治療が可能となります。 現在頸動脈の血管壁の厚み計測には医用超音波イメージングが主に用いられるため、この空間分解能を改善することは生活習慣病の治療に重要であると考えられます。 当研究室では、大気レーダーの分野で開発された周波数領域干渉計法を医用超音波イメージングに適用し、 世界に先駆けて商用医用超音波装置を用いた高分解能血管イメージングの実現に成功しました。
関連論文
- H. Taki, T. Sakamoto, M. Yamakawa, T. Shiina, T. Sato, Ultrasound Phantom Using Thin Wires for the Depiction of Calcification -- Comparison of Cross-Sections of Wire Targets and Mass Targets, IEEJ Trans. Electronics, Information and Systems, Vol.131, No.9, pp.1528-1534, 2011.
大気レーダーのための適応的信号処理法
風に流される大気乱流の渦は、電波をわずかに散乱します。 これをトレーサーとして観測することで、風の向きや速さを知ることができるのが大気レーダーです。 大気乱流による散乱波は非常に弱いため、山や飛行機から返ってくるエコーは強力な妨害波となります。 本研究室では、離れた2点に電波が到達する時間の差から妨害波の到来方向を知り、信号処理によってこれらを抑圧する手法を開発してきました。
関連論文
- K. Kamio, K. Nishimura, T. Sato, Adaptive sidelobe control for clutter rejection of atmospheric radars, Ann. Geophys., Vol.22, pp.4005-4012, 2004.