赤道大気レーダーのマルチスタティック化による高機能化

EAR の近傍に、個々の受信アンテナに信号処理装置を付加したディジタルビーム フォーミング方式による受信専用のサブアレイを2箇所設置し、マルチスタティック観測が 可能となるよう、システムを拡張する。これにより、対流圏観測において、従来は一様性が 仮定されていたビーム走査領域内の風速場の空間不均一が測定可能となる。特に、これまで 観測例のない赤道域対流雲の3次元構造の解明が期待される。また、同じシステムは、高感度の 流星観測受信サブシステムとして利用し、中間圏界面付近の風速推定に利用することや、電離圏 沿磁力線擾乱(FAI)の受信システムとしても利用可能である。最初の3年度には、現地調査とEAR データ解析・シミュレーションに基づきシステム設計を行った。平成16年度と17年度にそれぞれ 1箇所の受信設備を購入・設置し、観測体制を整備して17年度の集中観測に参加し、以後最終年度 までに実証観測を進める。


受信専用アレイを用いたマルチスタティックレーダーの構成


赤道大気レーダー(EAR)と受信サイトの配置


ディジタル受信機とネットワークによる受信専用アレイシステム


ディジタル受信機アレイの構成